看護必要度Ⅱへの移行進む、29%届かない病院わずか6% ―急性期一般入院料における「重症度、医療・看護必要度」改定内容解説①―

緊急事態宣言が5月31日まで延長されることになり、医療機関の皆さまにおかれましては新型コロナウイルスの影響で引き続き大変な状況下にいらっしゃることと存じます。
このような特殊な状況下ではありますが、MDV改定情報2020では、通常の外来診療や予定手術が実施できるようになった時に備え、2020年度診療報酬改定の最新情報をお伝えしていきます。今回より、ビッグデータを分析することで得られた知見も交えて解説します。

MDV改定情報2020のその1・その2では、地域包括ケア病棟入院料の要件見直しについてご説明しました。その3・その4では、重症度、医療・看護必要度の基準値や項目の見直しについて、当社が実施した看護必要度改定シミュレーションの結果を踏まえて解説します。

 ※過去の記事
MDV改定情報 その1「2020年度改定、急性期病院に明確なメッセージ」―地域包括ケア病棟改定内容解説①―
MDV改定情報 その2「急性期のポストアキュートを狙い撃ちした改定」―地域包括ケア病棟改定内容解説②―

看護必要度の基準値とA・B・C項目の見直し内容を確認

急性期一般入院基本料の実績評価指標である「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)について、基準値とA・B・C項目の見直し内容を改めて確認していきましょう。

今回改定で急性期一般入院料1の届出に必要な該当患者割合の基準値は、看護必要度ⅠとⅡでそれぞれ「31%以上」「29%以上」となりました。改定前は看護必要度ⅠとⅡの間に基準値の差分が5%設けられていましたが、改定後の差分は2%となりました(図1)。差分が小さく設定されたのは、今回改定から看護必要度Ⅱでも「救急搬送の有無」が評価されることになり、それが大きく影響して看護必要度Ⅱが上昇し、看護必要度Ⅰ・Ⅱ間の差分が今よりも小さくなるためだと考えられます。

この点について、当社で実施した看護必要度改定シミュレーション(550病院が対象、主に2019年10~12月のデータを使用して実施)の結果を見てみると、改定前に看護必要度Ⅰを届け出ている病院(看護必要度ⅠとⅡ両方のシミュレーションが可能)においては、看護必要度Ⅰは改定前後で34.0%から33.9%になり、0.1%低下するのに対し、看護必要度Ⅱは29.8%から32.9%になり、3.1%上昇することが分かりました(図2)。その影響で、看護必要度Ⅰ・Ⅱ間の差分の平均は、改定前が4.2%であるのに対し、改定後は1%に縮まっています。さらに、看護必要度Ⅱを届け出ている病院においても、看護必要度Ⅱは改定前後で32.0%から35.2%になり、3.2%上昇することが分かりました。このように、制度上の差分(2%)よりも実際の差分(平均1%)の方が小さい傾向であるため、現在看護必要度Ⅰで届け出ている病院についても、看護必要度Ⅱへの移行が進むと考えられます。

図1

図2

図1出典:厚生労働省保険局医療課「令和2年度診療報酬改定の概要(入院医療) 令和2年3月5日版」
図2出典:MDV「看護必要度改定シミュレーション」