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電子カルテを“情報の宝庫”に変える!
データ活用の第一歩とは

医療機関の半数以上が導入している電子カルテ。日々蓄積されているデータは経営者の視点を加えることで“情報の宝庫”になり得ますが、多くの病院で十分に活用できていないのが現状のようです。「データは目の前にあるのに使えていない」「でもどうしたらいいか分からない」。今回はそのような方のために、皆さんの身近にあり、経営改善につながる電子カルテデータの活用方法をご紹介します。

“電カル=紙カルテの電子版”になっていませんか?

電子カルテが紙カルテの代わりの診療録として認められるようになって四半世紀が経ちました。まだまだすべての医療機関に導入されているわけではありませんが、病院では約65%、診療所でも約55%の施設で電子カルテが使われています(※)。

カルテがデジタル化されて良かったことと言えば、「カルテ探しからの解放」を挙げる方が多いのではないでしょうか。それから、「見読性」の向上も多くの方が実感していると思います。かつては、日本語とドイツ語が混じった手書きの文字を「心」で読んでいた時代がありましたよね・・・。

しかし、デジタル化の効果が「紙カルテの電子版」だけに留まっているとしたら、それはとてももったいないことです。

意識したいデータの「1.5次利用」

もちろん、電子カルテは診療録ですから、蓄積されるデータは「診断」や「治療」といった直接的な医療サービスなど、患者本人に利益還元するために活用されます。これが医療情報の「一次利用」です。

また、個人情報を匿名化した医療情報は、国や研究機関などによって、疾病調査や研究、新薬の開発などに用いられ、社会的な安全や長期的な視野から人類に還元するために「二次利用」されています。

この「一次利用」と「二次利用」の間、いわゆる「1.5次利用」が院内での医療情報の“活用”なのです。特に日々の診療録の集積は、病院の動きそのものを映し出す“経営情報”として活用することができます。

電子カルテに蓄積されるデータからは、病院経営の指標になる患者数や症例数をはじめ、手術や検査といった診療実績などが集計できるため、電子カルテは病院の実態を可視化するための情報の宝庫といえます。さらに、医事会計システムの情報と組み合わせれば、病院の収益を詳細に分析することもできます。このほかにも電子カルテには、効率的な病床運用、外来機能の評価、増収策などをエビデンスに基づいて導き出すことができる“生きた情報”が日々蓄積されているのです。

まずはここから、データ活用の第一歩

とはいえ、「どうすればいいか分からない」という方もいると思います。そこで今回は、皆さんの身近にあり、活用しやすい電子カルテデータをご紹介します。

例えば普段、当たり前のように使っている「外来患者一覧」を見てみましょう。診察室では患者の来院状況や診察前検査の結果ステータスを見ながら、診察室への案内に使っていると思います。医事課では予約患者の待ち具合を見ながら当日来院患者の受け入れの調整に使っていると思います。日々の外来をスムーズに進めるために電子カルテデータが活用されています。

このデータを少し角度を変え、「患者の来院時間」「診察開始時間」「会計終了時間」などで整理し、分析すれば、待ち時間の把握や予約枠設定の評価など、患者満足度向上や職員の負担軽減に向けた施策を検討する根拠データになります。

また「手術実績記録」は、手術件数の把握はもちろんですが、「手術の所要時間」や「手術室ごとのスケジュール」を見ることができるので、手術室運営の効率性を評価する根拠データにもなるのです。

このように電子カルテに蓄積される日々の診療の記録は、経営者の視点を加えることで病院経営の“今”を可視化する情報の宝庫へと変わります。電子カルテは、単なる「紙カルテの電子版」ではなく、現場を映す“経営の窓”でもあるのです。

※出典:厚生労働省「令和5(2023)年医療施設調査」より
さらに詳しく!
「増収」や「業務効率化」に直結する電子カルテデータの活用方法はこちら
〈著者紹介〉
コラム著者「石井 富美」氏の写真

石井 富美

多摩大学大学院 客員教授
ヘルスケアビジネス経営人材育成研究所 所長
東京理科大学理学部卒
多摩大学大学院経営情報学専攻科修了経営情報学修士(MBA)

IT企業でのソフトウェア開発経験を活かし、多くの医療機関経営に携わった。社会人大学院で地域医療経営の講座を持ちつつ、地域包括ケアのまちづくりアドバイザー、医療介護事業の経営サポート、医療経営人材育成活動、企業向け医療ビジネスセミナーなどを行っている。

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