データ活用で病床管理を効率的に進める3つのポイント
変化した病床管理のあり方にどう対応するか
これまでは、医師から退院の許可が出れば、患者さんやそのご家族、転出先の都合などを調整しながら、比較的余裕をもって退院日を決めることができていました。しかし、救急搬送される患者さんが多く、病床が常に満床に近い状態の現在の病院では、こうした進め方をしていると患者さんの受け入れが滞ってしまいます。
現代の急性期病院に求められているのは、本当に「今」医療が必要な人に病床を使っていただくための迅速なベッドコントロールです。そのために週に2〜3回、カンファレンスを開き退院調整を積極的に実施する病院が増えています。
そのような中、皆さんの病院ではベッドコントロールをする上で重要な「退院の見込み」をどのように把握しているでしょうか。「実はそれが難しい…」という声を多くの病院から聞いています。例えば、入退院支援をしている患者さんであれば、早期から退院調整が進められていますが、すべての患者さんが対象となるわけではありません。また、クリニカルパスが適用されている患者さんであれば退院日は明確ですが、適用されていない場合は、治療の進み具合を見ながら退院日の目安を予測していくことになってしまいます。
このように退院日を予測することが難しい患者さんも、院内にあるデータをうまく活用することで退院日を予測し、スムーズなベッドコンロールにつなげることができます。そのポイントをご紹介します。
1 「DPC入院期間」は退院調整の有効な判断材料
DPC/PDPSの対象患者さんであれば、入院期間Ⅰ・Ⅱ・Ⅲのどこに該当しているかが、退院促進を判断する一つの基準になります。
もし、一人ひとりの入院患者さんについて、「現在どの入院期間にあり、あと何日で入院期間Ⅲに入るのか」を常に把握できれば、退院調整の優先順位をつけることが可能になります。もちろん、受け持ちの患者さんの入院期間は担当者が把握していると思いますが、カンファレンスのタイミングによっては、調整が後手に回ってしまうこともあります。
DPC/PDPSの対象患者さんについて、今日現在の入院期間(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)と、次の期間に入るまでの日数を患者一覧で確認できれば、ベッドコントロールの効率は大きく向上します。実際に、救急搬送の繁忙期にこの入院期間を可視化した患者一覧を活用し、満床を理由とした救急搬送の「断り」をゼロにできた病院もあります。
2 これからの病床管理で重要なのは「満床かどうか」ではない
また、予定入院の少ない時期には、調整に余裕のある患者さんの把握にも活用できます。「入院期間」というデータを可視化し、数日先の入院患者さんの状況を予測しながら病床管理をすることが、これからのベッドコントロールには欠かせません。これからの病床管理では、「満床かどうか」を追うのではなく、数日先の病床の動きを見据える視点が重要になります。
3 DPC入院期間一覧を医療スタッフで共有する
そのための判断材料として、DPC/PDPSにおける入院期間は、退院調整の優先順位を可視化するうえで有効なデータです。入院期間を一覧で共有することで、現場の判断を支えながら、結果として救急受け入れの余力を生み出すことにつながります。
石井 富美
ヘルスケアビジネス経営人材育成研究所 所長
多摩大学大学院経営情報学専攻科修了経営情報学修士(MBA)
IT企業でのソフトウェア開発経験を活かし、多くの医療機関経営に携わった。社会人大学院で地域医療経営の講座を持ちつつ、地域包括ケアのまちづくりアドバイザー、医療介護事業の経営サポート、医療経営人材育成活動、企業向け医療ビジネスセミナーなどを行っている。
