コラム

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?定義や活用事例を解説#033

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デジタルの変革によって、社会をよりよいものに変えようとする概念をデジタルトランスフォーメーション(DX)といいます。日本ではDXが遅れた際に想定される危機として「2025年の崖」が提唱されたことにより注目を集めました。

本記事ではデジタルトランスフォーメーションとは何か、注目される背景と、企業が取り組むべき理由、医療業界のDX活用方法を解説します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは

DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称で、デジタル技術の活用により、社会をよりよいものへと変革する概念のことです。

2004年にエリック・ストルターマン教授により提唱されたもので、単なるデジタル改革に留まらず、テクノロジーにより既存の価値観を覆すような、根本的な技術革新を指している点が特徴です。

デジタルトランスフォーメーションが注目される理由

2018年、経済産業省は日本企業がデジタルトランスフォーメーションを実現するうえでの課題をまとめた「DXレポート」を発表しました。(※)
このレポートでは、経営層のデジタルに対するビジョンと戦略の不足や、老朽化した既存システムなどがDXを妨げる要因として挙げられています。なかでも、企業がDXを実現できない場合に想定される危機とし「2025年の崖」問題が提起されたことから注目を集めました。

※出典:経済産業省「DXレポート2.2(概要)」

「2025年の崖」とは

「2025年の崖」とは、企業が2025年までにDXを達成できない場合に想定される、以下の危機のことです。

  • データ活用ができないため、市場の変化に柔軟に対応できずデジタル競争に敗北する。
  • 老朽化したシステムは維持管理費が高額化し、業務基盤の継続や継承も困難になる。
  • 保守運用の担い手の高齢化や退職により、サイバーセキュリティやシステムトラブルによるデータ損失リスクが高まる。

これらの危機が現実のものとなれば、最大で年12兆円の経済損失が発生するとの試算も出されました。(※)

同レポートでは、2025年の崖問題の克服方法として、旧システムの刷新がとくに重要であると解説しています。

※出典:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」

企業がDXに取り組む理由

企業がDXに取り組む理由とは

企業がDXに取り組むべき理由は、デジタル技術を活用した新たなビジネスモデルが必要なだけではありません。2025年の崖でも言及されている老朽化した既存システムは、刷新をしないと事業の継承も困難になるためです。

1. 既存システムの老朽化

DXレポートによると、2025年には約6割の企業で基幹系システムが21年以上経過していると試算しています。老朽化したシステムを使い続ければ企業が保有するビッグデータが活用できず、事業基盤の継承自体も困難となるため、企業の存続を揺るがす事態となりかねません。そのため、システムの刷新が求められます。

2. IT人材の活用

今後、国際競争力を高めるためにはデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの創出が必要であり、DX人材やIT人材の活用や育成は不可欠です。しかし、既存システムを使い続ければ、貴重なIT人材を最先端の技術に投入できません。

既存システムの維持や保守業務を行う人材を、デジタル技術分野にシフトしIT人材を確保すれば、市場の変化に素早く対応したサービスや製品の開発が可能です。

3. ビジネスの多様化

デジタル技術の発達により、インターネット上で商品を売買できたり、購入ではなくシェアで製品を使ったり、ビジネスモデルは大きく変化しています。さらに、デジタル技術を活用した新規参入者が一瞬で市場を席巻するケースもあります。

多様化した市場では、いち早く消費者ニーズに応える必要があるため、DXの推進が求められます。

医療業界でのDX活用方法

少子高齢化や医療従事者の不足など、DXは医療業界の抱える問題を解決するうえでも役立ちます。ここでは、医療業界のDX活用方法を2つ紹介します。

医療情報ネットワークの構築

医療情報ネットワークとは、病院・薬局・介護施設が患者情報を共有・閲覧できる仕組みのことです。このようなネットワークが構築できれば、患者が病院を転院したときも、すぐに以前のカルテを確認し、適切な医療の提供が可能となります。

また、病院だけでなく介護や薬局などの現場とも情報を共有できれば、医療の質の向上にもつながります。

データセンター(DC)によるBCP強化

医療業界のDXでは、レセプトなどの医療情報データが不可欠です。しかし、これらのデータを施設内のサーバーのみで保管すれば、災害時の損失リスクが高く、医療の継続が困難になる恐れもあります。

データセンターに医療データを保存すれば、緊急事態時に事業資産の損害を防ぐ事業継続計画(BCP)の強化が見込めます。

DXは医療業界の経営効率化にも役立つ

デジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術の活用により社会をよりよく変革しようとする概念です。DXの推進はすべての業界に求められ、医療業界でも活用により、効率的な保険事業や経営改善に役立ちます。

メディカル・データ・ビジョンでは、診療データベースを活用し、経営支援システムやアドホック調査サービスを提供しています。医療ビッグデータの利活用をご検討の際はぜひ一度ご相談ください。

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