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DISCOVER CKDのための共通データモデルアプローチの開発:リアルワールドの慢性腎臓病患者を対象としたグローバルコホート研究RWD × 医学論文解説

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論文紹介

異なる国の異なる医療情報データベースを統合して慢性腎臓病患者(CKD)を対象として研究を紹介する。データは米国、イギリス、日本から計6種類のデータベースを統合してその中にMDVが含まれていて、統合解析によりCKD患者の診断や治療に関する検討が可能になった。このように複数のデータの統合が可能になると希少疾患や発現頻度の低いアウトカムを検討できるようになる。

DISCOVER CKDのための共通データモデルアプローチの開発:リアルワールドの慢性腎臓病患者を対象としたグローバルコホート研究

Supriya Kumar, Matthew Arnold, Glen James, Rema Padman

題名 Developing a common data model approach for DISCOVER CKD: A retrospective, global cohort of real-world patients with chronic kidney disease
著者 Supriya Kumar, Matthew Arnold, Glen James, Rema Padman
出典 PLOS ONE
領域 慢性腎臓病

Developing a common data model approach for DISCOVER CKD: A retrospective, global cohort of real-world patients with chronic kidney disease | PLOS ONE
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0274131

目的

異なるデータソースからルーチンに収集された患者レベルのデータのプール解析および集計/メタ解析を容易にするために、研究固有のニーズに合わせて効率的に作成された柔軟な共通データモデル(CDM)アプローチを示すこと及び、このCDMを用いて慢性腎臓病(CKD)を合併した患者データの長期データベースであるDISCOVER CKDコホートの適用の詳細を示す。

方法

柔軟なCDMのアプローチは、データマッピングとデータモデルの実装に先立ち、3つの独立した交換可能なコンポーネントを組み込んだ:(1)標準化コードリスト(異なるコーディングシステムからの医療イベントの統一)、(2)検査項目の統一、(3)ベースコホートの定義。異なるコーディング辞書間のイベントは1対1のコードでマッピングせず、各データソースについて、ラベルのコードリストをコード/イベントレベルで管理した。各コンポーネントの検証には、疫学者、臨床医、情報科学者、データサイエンティストからなる研究チームが含まれた。

結果

CDMをDISCOVER CKD コホートに適用することで、3カ国にわたる5つのデータソースから、CKD患者1,857,593人の二次データを、リアルワールドでの迅速なエビデンス生成のためのデータベースに統合し整合性が得られた。

結論

この柔軟なCDMアプローチにより、DISCOVER CKDコホート内のリアルワールドデータからのエビデンス生成が容易になり、診断、予後、早期介入、疾患管理の改善を促進するCKDの疫学に関する新しい知見を得ることができる。このCDMアプローチの柔軟な建付けは、他の治療分野への拡張性、高速性、効率性を保証し、複数の異なるソースからの異なるタイプの二次データの統合解析を可能とする。

下寺 稔

ウェルディーコンサルティング 代表
日本薬剤疫学会 認定薬剤疫学家
MSD株式会社にて、安全対策業務、使用成績調査、製造販売後データベース調査、及び疫学関連業務を担当した。2021年にリアルワールドデータコンサルタントとして事業を開始し、安全性監視計画及び、製造販売後データベース調査を中心とするリアルワールドデータに関するコンサルティングを行っている。

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