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Web問診とは?メリットとデメリット、問診の流れを解説#060

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医療機関において、問診は患者にどのような病気の可能性が潜んでいるかを把握するために欠かせない工程です。従来の問診では患者が医療機関に来院した際に回答していました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにWeb問診が注目を集めています。

この記事ではWeb問診の仕組みやメリット、デメリットなどを解説します。

Web問診とは

Web問診とは

Web問診とは、来院前に患者がWeb上で回答する問診を指します。来院前の回答以外にも、医療機関に設置されたタブレットからでも回答可能です。

Web問診の普及率は、日経メディカルOnlineのアンケートによれば「既に導入している」「導入しようと思っている」との合計が5.2%でした。また、「制度や助成金の状況などを考慮して導入を検討したい」という回答は27.6%でした。(※)

また、コロナ禍の医療機関では発熱や新型コロナウイルスの感染症と疑われる症状がある患者に対しては、受付前に電話などで問診し、トリアージ(重傷度や治療緊急度に応じた傷病者の振り分け)した上で対応する必要性が高まったため、来院前に問診できるWeb問診を導入する医療機関を増えました。

※出典:日経メディカル「第13回 【開業医286人に聞いた】コロナ禍で注目のICTツール意識調査(後編)」

https://nm-kaigyo.nikkeihr.co.jp/career_labo/karte_enquete/013/ (入手日付2023-03-27)

Web問診と紙問診の違い

Web問診と紙問診では受付事務にかかる時間が異なります。従来の紙問診では、次のように受付までに合計で約25分かかる可能性がありました。

  • 患者が紙の問診票に回答:約2分~約5分
  • スタッフが回答内容を確認して必要に応じて患者に質問:約2分~約10分
  • スタッフが回答内容をカルテに記入:約2分~約10分

一方、Web問診は、問診結果がWeb問診システムに反映され、そこから電子カルテにコピー&ペーストで転記できるため、直接入力するよりも時間の短縮につながります。

AI問診とは

AI問診もWeb問診と同様、スマートフォンやタブレットで問診が可能です。AI問診では、AIが患者の症状に応じた問診内容を生成して問診します。患者はAI問診の結果を参考に、病院に行くべきかどうかを判断することが可能です。

AI問診の結果も同様にカルテに反映が可能なため、受付業務の短縮につながります。しかし、AI問診は項目が多くなる傾向があるため、スマートフォンやタブレットを使い慣れていない患者からすると負担に感じてしまう可能性もあります。

Web問診とAI問診の違い

Web問診における問診内容は、システム会社のサポートのもと、医療機関が作成ため、問診内容をカスタマイズできる点が特徴です。一方、AI問診における問診内容はAIによって自動で生成されます。AI問診は入力された主な症状に対して、AIが疑わしい病気を推測して質問していきます。

Web問診システムの特徴

Web問診システムの特徴として、問診票の管理コスト削減、受付の作業時間削減、スムーズな診察の実現などが挙げられます。従来の紙の問診票は、管理するためにスペースの確保や専用の什器、ファイルなどを用意する必要などがありました。しかしWeb問診システムでは問診票がデータで管理できるため、保管のスペースも取らず検索機能を使えばすぐに過去の問診票を確認できます。

またWeb問診システムを導入することで、先述のとおり患者の問診記入時間、スタッフの問診確認時間や電子カルテへの入力時間を短縮できます。Web問診は、問診内容を医療期間がカスタマイズできるため、医師が診察で必要な情報を取得しやすく、スムーズな診断につなげやすいのも大きな特徴ですられるでしょう。

Web問診を導入する際の注意点

Web問診を導入する際の注意点として次の4つが挙げられます。

  • 使いやすいシステムを選ぶ
  • サポートが手厚いシステムを選ぶ
  • カスタマイズ性が高いシステムを選ぶ
  • Webページの制作・改修の実施(Web問診への動線構築・運用管理)

使いやすさ

Web問診を導入する目的の一つには、診察をスムーズに進めることがあります。そのため、画面や入力された問診内容が見やすく、使いやすいシステムを選ぶことが大切です。

サポートの手厚さ

Web問診を導入すると、運用が円滑に運用されるまでさまざまなトラブルが発生する可能性があります。そのためWeb問診を導入する上では、サポート体制が整ったベンダーを選ぶようにしましょう。例えば導入前の無料相談に対応している、実際にスタッフを対象にレクチャーをしてくれるといったサポート内容を確認しておくことで、導入後のトラブルに迅速に対応できます。

カスタマイズ性の高さ

Web問診は、システムのカスタマイズ性にも着目して導入しましょう。中には質問項目を追加、削除できるシステムがあります。このようなWeb問診システムであれば、Web問診導入後に改善すべき点が出てきても自由にカスタマイズが可能です。

Web問診の流れ

Web問診の流れは大きく次のとおりです。

  • 患者が来院前に回答
  • 患者が来院後に回答
  • スタッフが問診結果を電子カルテに転記

来院前に回答する場合は、患者がスマートフォンやタブレットで事前に問診に回答します。来院後に回答する場合は、患者が医療機関内に備え付けられたタブレットで問診に回答します。

来院前に回答し問診結果も来院後に回答した問診結果も、Web問診であればWeb問診システムに反映され、スタッフが電子カルテに転記・反映することが可能です。

Web問診を活用すれば診察をスムーズに進められる

スマートフォンやタブレットを使用して事前に問診をするWeb問診であれば、医療機関の受付業務の負担を軽減できます。また、問診内容をカスタマイズできるため、医師が診察で必要な情報を取得しやすく、診察をスムーズに進められます。

Web問診の導入にあたっては、操作しやすく手厚いサポート体制が整ったシステムを選ぶようにしましょう。

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