慢性腎臓病に対するダパグリフロジンの使用と、米国および日本における低アルブミン尿患者における実臨床での有効性
Navdeep Tangri, Anjay Rastogi, Cassandra Nekeman-Nan, Lai San Hong, Asuka Ozaki, Stefan Franzén & Tadashi Sofue
題名 | Dapagliflozin Utilization in Chronic Kidney Disease and Its Real-World Effectiveness Among Patients with Lower Levels of Albuminuria in the USA and Japan |
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著者 | Navdeep Tangri, Anjay Rastogi, Cassandra Nekeman-Nan, Lai San Hong, Asuka Ozaki, Stefan Franzén & Tadashi Sofue |
出典 | Advances in Therapy |
領域 | 慢性腎臓病 |
Advances in Therapy September 2024 41(3). DOI: 10.1007/s12325-023-02773-x
背景
ダパグリフロジンを始めとするSGLT2阻害薬は、主にアルブミン尿高値の患者を対象とした大規模アウトカム試験において、CKDの進行を遅らせる効果が証明されている。アルブミン尿低値のCKD患者に対するこれらの薬剤の実際の使用状況と有効性を理解することは、この集団における臨床的意思決定に役立つ。
方法
米国と日本の請求データ(MDV及びリアルワールドデータ)を用いて、CKDの適応承認後にダパグリフロジン10mgの治療対象となった尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)<200mg/gのCKD患者(治療開始者と未治療者)について検討した。傾向スコアをマッチさせたコホートにおいて、ダパグリフロジン10mgの投与群と非投与群の推算糸球体濾過量(eGFR)の変化率を評価するため、新規使用者の有病率デザインを用いた回帰分析をした。
結果
ダパグリフロジンの投与開始者(n=20,407)のほとんどはステージ3〜4のCKDであった(データベース全体で69〜81%)。最も一般的な併存疾患は2型糖尿病、高血圧、心血管疾患であった。ベースライン時には53〜81%の患者にレニン・アンジオテンシン系阻害薬が処方されていた。対象であったが未治療であった患者は開始患者より年齢が高く、eGFRが高く、合併症の負担が低かった。ダパグリフロジンの投与開始後、投与開始患者と非投与患者のeGFR変化率の中央値の差は、UACRが200mg/g未満の全患者で1.07mL/min/1.73m2/year(95%信頼区間[CI]0.40~1.74)、2型糖尿病のないUACRが200mg/g未満の患者で1.28mL/min/1.73m2/year(95%CI – 1.56~4.12)であった。
結論
ダパグリフロジン10mgはCKD患者に幅広く処方されていた。UACRが200mg/g未満の患者において、ダパグリフロジンの投与開始は非投与と比較して臨床的に意義のあるeGFR変化率の減弱と関連した。これらの知見は、利用可能な臨床的有効性エビデンスを補足するものであり、ダパグリフロジンの有効性がCKDおよびUACR<200mg/gの患者にも及ぶ可能性を示唆するものである。