進行非小細胞肺がん患者における免疫療法と肥満の全生存期間への影響
Yasutaka Ihara, Kenji Sawa, Takumi Imai, Tsubasa Bito, Yuki Shimomura, Ryota Kawai, Ayumi Shintani
題名 | Immunotherapy and Overall Survival Among Patients With Advanced Non–Small Cell Lung Cancer and Obesity |
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著者 | Yasutaka Ihara, Kenji Sawa, Takumi Imai, Tsubasa Bito, Yuki Shimomura, Ryota Kawai, Ayumi Shintani |
出典 | JAMA Network Open |
領域 | 非小細胞肺がん |
JAMA Netw Open. 2024 Aug 1;7(8) :e2425363. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2024.25363
重要性
肥満とがん治療に対する反応や生存期間との関連性については明らかではなく、さまざまな研究結果が相反している。免疫療法に対する治療効果が不十分である可能性がある肥満患者においては、初回治療として従来の化学療法と免疫療法のいずれを選択すべきかが不明である。
目的
免疫療法または従来療法と全生存期間との関連に対して、体格指数(BMI)が因子として影響するか明らかにすること。
デザイン、設定、対象
本研究は、日本国内の高度医療施設から得られたレセプトデータを用いた後ろ向きコホート研究であり、2015年12月1日から2023年1月31日までに、進行非小細胞肺がん(aNSCLC)と診断され、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)または従来型化学療法を受けた18歳以上の患者を対象とした。股関節骨折のオッズ比は、前期高齢者においてのみ薬剤の数とともに増加した。AUCは前期高齢者で最も高かった(AUC、0.74、95%CI 0.72-0.76)。抗パーキンソン病薬の使用は最も係数が大きく、多くのカテゴリーで最も影響力のある変数であった。
曝露
初回化学療法としての免疫チェックポイント阻害薬治療と、従来型化学療法とを比較した。
主要評価項目
主要アウトカムは全生存期間であり、初回化学療法開始から3年間の追跡期間に基づいて解析された。
結果
合計31,257人のaNSCLC患者が確認された。このうち12,816人がICI療法(平均年齢70.2歳[標準偏差9.1]、男性80.3%)、18,441人が従来化学療法(平均年齢70.2歳[標準偏差8.9]、男性76.7%)を受けていた。BMIが28未満の患者では、ICI療法は従来療法に比べて死亡ハザード比が有意に低かった(例:BMI 24、ハザード比 0.81[95%信頼区間 0.75–0.87])。一方で、BMIが28以上の患者では同様の関連性は認められなかった(例:BMI 28、ハザード比 0.90[95%信頼区間 0.81–1.00])。
結論と意義
本後ろ向きコホート研究の結果は、ICI療法と従来化学療法による全生存への効果の違いがBMIにより修飾される可能性を示唆している。特に、過体重または肥満のaNSCLC患者においては、ICI療法による生存期間の改善が認められず、従来化学療法も初回治療の選択肢として考慮されるべきであることが示唆される。