透析非依存性(NDD)-CKDにおける早期対遅発性貧血治療の転帰
Kouji Kawai1, Manabu Ishii, Yoshimasa Kokado, Takashi Horikawa, Junichi Hoshino
題名 | Outcomes of Early Versus Delayed Anemia Treatment in Nondialysis-Dependent CKD |
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著者 | Kouji Kawai1, Manabu Ishii, Yoshimasa Kokado, Takashi Horikawa, Junichi Hoshino |
出典 | Kidney International Reports |
領域 | 慢性腎臓病 |
Kidney Int Rep 2024 Apr 15;9(7):2056-2066. doi: 10.1016/j.ekir.2024.04.030.
背景
NDD-CKDにおける腎および心血管系転帰と、腎性貧血患者の治療開始時のヘモグロビン値との関連性は不明である。
方法
このレトロスペクティブコホート研究では、2つの日本のデータベース(メディカル・データ・ビジョン株式会社[MDV]、およびリアルワールドデータ株式会社[RWD])を利用した。長時間作用型赤血球造血刺激因子製剤(ESA)治療を開始した患者をヘモグロビン値に応じて、早期治療群(Hb≧9.0g/dl)と遅延治療群(Hb<9.0g/dl)に分けた。主要評価項目は腎複合評価項目(腎代替療法、推定糸球体濾過率(eGFR)の50%以上の減少、eGFR <6.0 ml/min/1.73 m²、全死因死亡)とし、副次評価項目は心血管複合評価項目(心筋梗塞を含む虚血性心疾患による入院、脳卒中および心不全による入院、心血管死)および複合評価項目とした。
結果
傾向スコアマッチング後、1472例(MDV)および1264例(RWD)の患者が評価された。遅延治療は腎複合アウトカムのリスクとは関連していなかった(MDV:ハザード比[HR]:1.15、95%信頼区間[CI]:0.99-1.33;RWD:HR:1.08、95%CI:0.92-1.28)。しかし、治療の遅延は、心血管系複合アウトカム(MDV:HR:1.47、95%CI:1.16-1.84;RWD:HR:1.34、95%CI:1.09-1.64)、心不全(MDV:HR:1.50、95%CI:1.13 -2.00;RWD:HR:1.53、95%CI:1.20-1.96)および全死因死亡率(MDV:HR:1.83、95%CI:1.32-2.54;RWD:HR:1.64、95%CI:1.21-2.22)と関連していた。
結論
NDD-CKD患者において腎性貧血の治療が遅れても腎イベントのリスクは上昇しなかったが、心血管イベントおよび全死因死亡のリスクは上昇した。このことは、ヘモグロビン値が9.0g/dl未満に低下する前に早期介入する重要性を示唆している。