データレポート アーカイブ

Webツール

指定難病領域における入院患者数推移 ― DPCデータ解析

SHARE

 希少・難治性疾患は患者数が限られる一方で、長期療養を要するケースが多く、研究開発や医療提供体制の検討において、実臨床データに基づく患者規模の実態把握が重要となる。毎年2月の最終日は、こうした希少・難治性疾患への理解促進を目的とした国際的な啓発デー「世界希少・難治性疾患の日(Rare Disease Day:RDD)」とされている。

日本における指定難病は、原因不明、治療法未確立、希少性および長期療養性を要件として厚生労働大臣が指定する疾病であり、2025年4月時点で348疾病が対象となっている。

厚労省「指定難病病名及び臨床調査個人票一覧表」に基づき指定難病を抽出し、2023年4月以降のMDV DPCデータを用いて入院患者数の年度別推移を分析した。

具体的には、指定難病の入院患者数上位10疾患(表1)に加え、入院患者数が多い「神経・筋疾患領域」の上位10疾患(表2)および「免疫系疾患領域」の上位10疾患(表3)、さらに2023〜2024年度に承認された希少疾病用医薬品の対象疾患における入院患者数推移(表4)をまとめている。

これら指定難病及び希少疾患におけるMDVデータベース活用については、ぜひお気軽にお問い合わせください。

表1:DPCデータに基づく指定難病の入院患者数ランキング(上位10疾患)

対象期間 : 2023年4月~2025年9月
対象施設数:445

 対象445施設における指定難病の実患者数は、パーキンソン病が10,049人と突出して多く、次いで潰瘍性大腸炎(3,635人)、全身性エリテマトーデス(2,662人)と続く。2023年度から2024年度にかけては、上位10疾患すべてで実患者数が増加傾向にある。また、上位10疾患のうち4疾患を「免疫系疾患」が占めており、当該領域の入院患者数増加が目立つ。
経年の推移では、後縦靱帯骨化症や顕微鏡的多発血管炎など、2023年度から2024年度にかけて入院患者数が約6〜14%増加している疾患が複数確認でき、DPC病院における難病診療の受け入れは着実に拡大している。

表2:神経・筋疾患領域の入院患者数ランキング(上位10疾患)

対象期間 : 2023年4月~2025年9月
対象施設数:445

 神経・筋疾患領域の年度別の推移に着目すると、慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチーが約17%増(205人→240人)、大脳皮質基底核変性症が約18%増(136人→161人)と大幅な伸びとなった。2025年度上期も前年度の半数を超えて推移しており、DPC病院への患者流入、あるいは診断精度の向上による疾患の顕在化が継続していると考えられる。また、ALSや脊髄小脳変性症といった1,000人規模の疾患がある一方、超希少疾患での増加率が高い点は、専門医への集約化が進んでいることを示唆している。

表3:免疫系疾患領域の入院患者数ランキング(上位10疾患)

対象期間 : 2023年4月~2025年9月
対象施設数:445

 免疫系疾患では、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎/多発性筋炎、顕微鏡的多発血管炎の順に入院患者数が多い。2023年度と2024年度を比較すると、顕微鏡的多発血管炎(690人→792人)や好酸球性副鼻腔炎(264人→348人)において、前年度比10%〜30%程度の増加が確認された。診断技術の向上や新規治療薬の浸透が、DPCデータ上の患者数増に寄与している可能性がある。

表4:2023-2024年度承認薬剤の入院患者数推移

対象期間 : 2023年4月~2025年9月
対象施設数:445

 直近2年間に承認された希少疾病用医薬品の対象疾患では、筋委縮性側索硬化症(1,138人)、免疫性血小板減少症(1,250人)や重症筋無力症(1,462人)が、希少疾患の中でも突出して入院患者数が多い。一方で、遠位型ミオパチー(7人)やレノックス・ガストー症候群(20人)などは入院患者数が極めて少数である。また、2024年度承認の肺動脈性肺高血圧症が、前年度比約39%増(163人→227人)と急伸している。これは新薬の登場が専門施設への受診を後押しした結果と考えられ、新薬承認が患者の受療行動に変化を及ぼす証左である。

【参考】

・厚生労働省「指定難病病名及び臨床調査個人票一覧表」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53881.html

・PMDA(独立行政法人 医薬品医療機関総合機構) 新医薬品の承認品目一覧(2023、2024年度)
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/p-drugs/0010.html

※本記事は2026年2月2日付で公開されたものです。

ご要望に応じた診療データ調査分析

データベースについてや分析のご依頼など

page top