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データセットとは?つくり方や機械学習で使用される種類を解説#017

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「データセットとは何を指すのか?」「データベースとの違いは?」など、データセットについて耳にしたことはあっても、詳細を知らない方は多いでしょう。

データセットは一定の形式に整えられたデータの集合体のことで、さまざまな分野で活用されています。

この記事では、データセットの概要を解説。機械学習で使用されるデータセットの種類やつくり方のほか、質の高いデータセットを活用するメリットも紹介しているので、ぜひご一読ください。

データセットとは

データセットとは

データセットとは、ある目的で集められ、一定の形式に整えられたデータの集合体のことです。一般的に統計的機械学習の分野において、プログラムで処理されるデータの集合体を指します。

データセットには画像データセットや動画データセット、音声データセット、テキストデータセットのほか、経済・金融データセット、医療データセット、観光データセットなど、さまざまなジャンルがあります。

なかでも、代表的なものは0~9の手書き数字の画像70,000枚を集めたMNISTと言う画像データセットです。画像認識を目的とした機械学習の分野で、学習や評価に広く用いられています。

なお、データセットを構成する1件ごとのデータを「レコード」や「データポイント」と言います。

機械学習では集めたデータセットからレコードを1件ずつシステムに入れて計算させることで、対象についてのモデルを構築します。

データセットとデータベースの違い

データセットはある目的で集められたデータの集合体のことを指しますが、データベースは一定のルールに基づき、検索や蓄積が容易にできるように整理された情報の集まりのことです。

データセットは、「データベースから取得したレコードをメモリ上に持つための入れ物」と考えると分かりやすいでしょう。

機械学習をする際に必要なデータをデータベースから抜き出し、データセットへ集めることで処理が可能となります。

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機械学習で使用されるデータセットの種類

機械学習で使用されるデータセットには、「トレーニングセット」「バリデーションセット」「テストセット」の3種類があります。以下では、それぞれのデータセットの特徴と役割を解説します。

トレーニングセット

トレーニングセットとは、最初に使用される最も規模が大きなデータセットのことです。
機械学習アルゴリズムを与えることで、開発モデルのトレーニングに活用可能。基本となるモデルを構築します。モデル学習は、このトレーニングセットを基に行われます。

バリデーションセット

バリデーションセットは、トレーニングセットで訓練した後に、機械学習のアルゴリズムを制御するハイパーパラメーターを調整するために利用するデータセットのことです。

さまざまなハイパーパラメーターをトレーニングセットで訓練し、バリデーションセットを利用したうえで、最もパフォーマンスが優れているものを採用します。

テストセット

テストセットは、バリデーションセットで高いパフォーマンスを示すと判断されたモデルの精度を確認するためのデータセットです。データの精度を検証する最終段階で使われることが多く、パフォーマンスのテストをするためだけに用いられます。

バリデーションセットと混同されがちですが、すでに使用したバリデーションセットを用いると本来の数値と異なる数値がでてしまうため、未使用のテストセットを用いて精度を検証します。

データセットの作り方

以下では、データセットのつくり方を三段階に分けて解説します。

1.モデルの課題を明確にする

データセットをつくる際は、最初にモデルの課題を明確にすることが大切です。
「機械学習を導入する目的は何なのか」「機械学習の導入によって解決すべき問題は何か」を明らかにしましょう。

具体性のない課題では、目的に合ったデータセットの作成は困難です。そのため、「機械学習を導入して業務の効率化を図りたい」「機械学習を導入して医療研究に役立てたい」など、モデルの課題を具体的にすることをおすすめします。

2.データを収集する

モデルの課題を明確にしたら、データを収集します。
機械学習の質と量を向上させるには、収集するデータの質と量が重要です。

収集するデータの量が足りないと、「オーバーフィッティング」と言う現象が起きる場合があります。オーバーフィッティングとは、学習データには適合するが、新たなデータを予測できないモデルができてしまうことです。オーバーフィッティングを防ぐためにも、少しずつデータ量を増やす必要があります。

3.アノテーションを付与する

データを収集した後は、アノテーションを付与します。
アノテーションとは、日本語にすると「注釈」と言う意味です。機械学習では、さまざまなデータに対してタグづけすることを指します。膨大なデータに対してアノテーションをして、問題と解答を情報として付加した教師データを付与することで、どれが正しいモデルかを判断できるのです。

データセットを作る際の5つの注意点

データセットを作る際の5つの注意点

データセットをつくる際には、注意しなければならないことが5つあります。効率的にデータセットを作成するためにも、注意点を把握しておきましょう。

1.Excelデータはcsvファイルで作成する

データセットで用いるデータをExcelから書き出す際は、csvファイルで作成するのがポイントです。

Excelで作業をして保存する際のデフォルトのファイル種類は、.xlsやxlsx形式です。しかし、これらの形式だと、データ解析や機械学習をするときにExcelに由来する情報も入ってしまうため、扱いにくくなってしまいます。

扱いやすく、データセットの確認や修正などの円滑にするにはcsvファイルが最適です。そのため、Excelデータcsvファイルで作成するようにしましょう。

2.ファイル名をルール化する

ファイル名には、一定のルールを定めましょう。
データ作成を進めると、扱うファイルの数が増えてきます。

この際、ファイル名を無作為につけているとデータの管理が難しくなり、抽出が複雑になる可能性があります。そのため、ファイル名はルール化するのがいいでしょう。データの管理がしやすくなり、抽出にかかる時間も短縮できます。

3.変数名をルール化する

変数の名前の付け方にもルールがあり、もしもルールに反した名前を付けると計算エラーが起こる恐れがあります。

そのため、変数の名前およびデータセット名はルールに沿って決めましょう。なお、できるだけ内容が分かりやすい名前にするのもポイントです。

4.セルを統合しない

データセットをまとめるときに、エクセルのセル統合機能を使うのは避けましょう。
セルを統合すると、データの読み込みができなくなってしまうためです。サンプル名や特徴量名のセルでも同様のため、どのセルにおいても統合せずにそのまま入力するようにしましょう。

5.空白セルの意味を統一する

データセットをまとめるときに発生する、空白のセルは必ず意味を一つに統一しましょう。
データセットを作成する段階で、何も入力していない空白のセルが発生します。

その際、空白のセル自体は問題ありません。しかし、データセットを読み込んだときに空白だと、測定をしてないのか、または測定をした結果ゼロだったのかが分かりません。

そのため、空白のセルには「測定結果がゼロのサンプル」と言うように、一つの意味だけを当てはめるようにしましょう。

質の高いデータセットを活用するメリット

機械学習をする際に質の高いデータセットを活用することで、機械学習の質もアップします。高精度の予測や分析をするに当たって、質の高いデータセットは欠かせない存在といえるでしょう。

なお、質の高いデータセットを活用することは、業務の効率化や新しいサービスの運用などにつながります。

メディカル・データ・ビジョン株式会社では、お客様の利用目的をお伺いし、分析対象となる患者のデータを集積・加工したデータセットを提供。提供したデータセットは、製薬会社や医療・材料機器メーカー、アカデミア、公的研究機関などで、論文作成や学会発表といった用途にご利用いただいています。

データセットの活用を検討されている場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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