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調査実施計画書の記載要領 後半調査の設計・計画に必要な基礎情報: 調査の『骨組み』(目的・背景・対象・データ・デザイン)を作る専門家の視点 -RWDの現場から-

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 今回は前編に続き「コラム:調査実施計画書の記載要領」の後編として、『調査設計の具体化:どのように定義・測定・解析を実施するのか?』 を解説します。
前・後編併せてお読みいただき全体像をつかんでいただければ幸いです。

曝露・対照の定義及びそれに用いる事項:曝露期間と対照設定の基本

 製造販売後データベース調査における曝露は、調査の対象となる特定の医薬品の処方を指すことになります。曝露はリスクの指標として用いられるので、大変重要な要素となります。曝露の開始は通常初回処方日となりますが、終了日は以下のことを考える必要があります。

「grace period」や「gap period」を利用して、曝露開始日から終了日までの具体的な基準を示します。たとえば、新規処方の場合、処方日を基準として処方日数を加えた期間を曝露期間としますが、処方日数が終わった少し後に次の処方がされることがあります。その場合、飲み残しや医薬品の中止した効果が続く期間grace period内であればその期間を加えて曝露期間として定義します。処方が終了した場合は最後の投与日に同じくgap periodを加えます。

曝露期間の代わりに、曝露期間中の薬物効果が持続する「治療期間」や「リスク期間」などの用語を用いる場合、それが曝露期間であることを明示することが必要です。対照群に関しては、非曝露群や対照薬の選定基準、標準治療との位置づけを考慮し、定義の適切性を具体的に説明します。また、ネスティッドケース・コントロールデザインを採用する場合、アウトカム発現日の直前で曝露を評価するためのtime-windowを設定します。これらの設定により、調査の信頼性を高めます。

アウトカムの定義及びそれに用いる事項:リサーチクエスチョンの鍵を開く

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