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慢性腎臓病ステージG3~5の日本人非透析患者における実際の骨折リスク、骨粗鬆症の治療状況および死亡率RWD × 医学論文解説

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論文紹介

 本研究では、透析を受けていない慢性腎臓病(CKD)患者と、CKDを合併していない患者の骨折および死亡リスクを比較しました。

MDVデータベースに含まれる臨床検査値を用いて、非透析の慢性腎臓病ステージG3~5患者を定義し、同年齢・同性別の対照群とマッチングして背景因子を調整した後、骨折リスクおよび死亡率を評価しました。

その結果、CKD患者は対照群に比べ、大腿骨骨折リスクおよび死亡率が有意に高いことが示されました。

一方で、骨折予防のための骨粗鬆症治療や骨密度測定の実施率は低く、CKD患者における骨折リスクへの適切な対応の必要性が示唆されました。 MDVデータベースでは一部施設で臨床検査値を扱えるため、解析対象例の定義に用いることができた事例となります。また、マッチングした因子については、曝露群と対照群の背景が揃うため、交絡の影響を小さくすることができます。

慢性腎臓病ステージG3~5の日本人非透析患者における実際の骨折リスク、骨粗鬆症の治療状況、および死亡率

Yasuo Imanishi, Satsuki Taniuchi, Sho Kodama, Hisako Yoshida, Tetsuo Ito, Ryota Kawai, Naoki Okubo & Ayumi Shintani

題名Real-world fracture risk, osteoporosis treatment status, and mortality of Japanese non-dialysis patients with chronic kidney disease stages G3-5
著者Yasuo Imanishi, Satsuki Taniuchi, Sho Kodama, Hisako Yoshida, Tetsuo Ito, Ryota Kawai, Naoki Okubo & Ayumi Shintani
出典Clinical and Experimental Nephrology
領域慢性腎臓病

PMID: 39402308 PMCID: PMC11828842 DOI: 10.1007/s10157-024-02562-y

背景

 大規模臨床データベースを用いた、日本人慢性腎臓病(CKD)ステージG3~5患者における骨折リスクおよび死亡率を調査した研究は少ない。

方法

 本後ろ向きコホート研究では、2008年4月1日から2023年4月30日までのデータを抽出した。CKD(推定糸球体濾過量<60 mL/min/1.73 m²)の非透析患者1人に対し、年齢・性別が一致したCKDのない対照群1人をマッチングした。観察開始以降の全骨折・大腿骨骨折発生率および全死因死亡率を算出した。

結果

 76,598人(各群38,299人)のマッチング対象者において、全骨折発生率はCKD群と対照群で差がなかった(5.7% 対 5.8%;ハザード比[HR]1.022[95%信頼区間 CI 0.952–1.098]、P= 0.542)。CKD群は対照群より大腿骨骨折リスクが高かった(大腿骨骨折発生率:1.7%対1.3%;HR 1.415[95%CI 1.234–1.622]、P<0.001)。多変量回帰分析では、CKD群は対照群と比較して股関節骨折リスクが上昇し、若年層ほどこのリスクの違いが大きかった。CKD群における骨粗鬆症治療率と骨密度(BMD)測定率はそれぞれ10.0%と5.3%であり、対照群では4.4%と4.4%であった。CKD群では死亡率も高かった(HR 1.413[95% CI 1.330–1.501]、P < 0.001)。

結論

 CKDを有する日本人患者は、CKDのない患者と比較して大腿骨骨折リスクが高い。CKDを有する日本人患者における骨折に対する治療とBMD測定は不十分であり、骨折リスクに対するより適切な管理が必要である。


下寺 稔

ウェルディーコンサルティング代表 日本薬剤疫学会 認定薬剤疫学家

MSD株式会社にて、安全対策業務、使用成績調査、製造販売後データベース(DB)調査、及び疫学関連業務を担当した。2021年にリアルワールドデータコンサルタントとして事業を開始し、安全性監視計画及び、製造販売後DB調査を中心とするリアルワールドデータに関するコンサルティングをしている。

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