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乾癬性関節炎患者におけるセクキヌマブの治療継続率:アダリムマブを対照とした傾向スコアマッチングによるレトロスペクティブ・コホート・データベース研究(FLYWAY研究)RWD × 医学論文解説

論文紹介

 本研究は、日本の乾癬性関節炎患者におけるセクキヌマブの治療実態を明らかにすることを目的として実施されました。結論として、セクキヌマブは既存の標準治療薬であるアダリムマブと比較して、治療の継続率が有意に高く、長期にわたる安定した治療効果が期待できることが示されました。研究デザインの特徴として、患者背景の偏りを調整するために「傾向スコアマッチング」という統計手法を用いている点が挙げられます。これにより、背景因子の異なる患者群を公平に比較することを目指しています。

有用性(Usefulness)の定義:

抄録には記載されていませんが、患者が治療を受けた期間を通じて以下の基準を全て満たした場合に有用とみなされました。

  1. 薬剤受療率(MPR=Medication Possession Ratio)が80%以上
  2. 他の乾癬性関節炎治療薬への切替えがない
  3. 投与量の増量がない
  4. 従来型抗リウマチ薬(csDMARD)の追加がない
  5. 全身性糖質コルチコイドの使用量増加がない
  6. 基準日(治療開始日)から90日以降の関節内ステロイド注射が 1 回以下

MPR(medication possession ratio, 薬剤受領率)は、処方された薬を患者が実際に受け取った割合を表す治療順守の指標です。

乾癬性関節炎患者におけるセクキヌマブの治療継続率:アダリムマブを対照とした傾向スコアマッチングによるレトロスペクティブ・コホート・データベース研究(FLYWAY研究)

Hideto Kameda, Kentaro Ishii, Junna Kiriyama, Toshiaki Mikami, Hideya Uratsuji, Akimichi Morita

題名Secukinumab Persistence in Patients with Psoriatic Arthritis: An Adalimumab-Matched Retrospective Cohort Database Study (FLYWAY)
著者Hideto Kameda, Kentaro Ishii, Junna Kiriyama, Toshiaki Mikami, Hideya Uratsuji, Akimichi Morita
出典Rheumatology and Therapy
領域乾癬性関節炎

PMID: 40072816 PMCID: PMC12084206 DOI: 10.1007/s40744-025-00749-7

背景

 乾癬性関節炎(PsA)の進行を防ぐには長期治療が必要である。しかし、忍容性や受容性の問題から、既存の治療法を継続することは容易ではない。本研究の目的は、セクキヌマブ治療を受けたPsA患者における1年継続率を推定し、セクキヌマブとアダリムマブの継続率を比較すること、ならびに有用率(usefulness rates)を推定し、有害事象の記録をすることである。

方法

 本研究は、日本のMedical Data Vision(MDV)データベースのデータを用いたレトロスペクティブ研究である。2015年2月1日から2020年9月30日の間にセクキヌマブを開始したPsA患者182人を特定した。このうち171人を、同期間にアダリムマブを開始した171人と傾向スコアを用いてマッチングさせた。患者は死亡、治療中止、または研究期間終了まで追跡された。継続率はカプラン・マイヤー生存分析を用いて解析した。有用性は既報のアルゴリズムを用いて評価し、特定の有害事象を記録した。

結果

 セクキヌマブの12ヶ月継続率は68.3%であった。継続期間の中央値は、セクキヌマブ(27.8ヶ月)の方がアダリムマブ(12.5ヶ月)よりも有意に高かった(p = 0.002)。12ヶ月後の時点で、治療が「有用」と判断されたのはセクキヌマブ群で47.0%、アダリムマブ群で22.2%であった(p < 0.001)。注目すべき有害事象は、マッチング前のセクキヌマブ群で14名(7.7%)、アダリムマブ群では32名(9.1%)に認められた。

結論

 PsA患者において、セクキヌマブはアダリムマブよりも高い継続率を示した。PsAは長期治療を要する慢性疾患であるため、治療選択においては長期的な継続性と有用性を考慮すべきである。


下寺 稔

ウェルディーコンサルティング代表 日本薬剤疫学会 認定薬剤疫学家

MSD株式会社にて、安全対策業務、使用成績調査、製造販売後データベース(DB)調査、及び疫学関連業務を担当した。2021年にリアルワールドデータコンサルタントとして事業を開始し、安全性監視計画及び、製造販売後DB調査を中心とするリアルワールドデータに関するコンサルティングをしている。

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