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心房細動と冠動脈疾患を合併した日本人患者における経口抗凝固薬の実臨床におけるアウトカムRWD × 医学論文解説

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論文紹介

臨床でよく見られる心房細動(AF)と冠動脈疾患(CAD)の治療において、経口抗凝固薬であるワルファリン、ダビガトラン、リバーロキサバンの3つの治療群に分け、それぞれの大出血リスクを比較した。十分な症例数を確保した結果、ワルファリンに比べてダビガトランおよびリバーロキサバンの大出血リスクが低いことが示された。また、ダビガトランとリバーロキサバンを直接比較したところ、ダビガトランのほうがリスクが低いことも確認された。同様の研究は米国FDAによる「ミニセンチネル」で実施されており、本研究はメディカル・データ・ビジョン(MDV)の大規模データベースを活用した点に特徴がある。

心房細動と冠動脈疾患を合併した日本人患者における経口抗凝固薬の実臨床におけるアウトカム

Yijiao Chen, Xiaoqian Gong, Haikun Bao

題名Real-world clinical outcomes of oral anticoagulants among Japanese patients with atrial fibrillation and concomitant coronary artery disease
著者Yijiao Chen, Xiaoqian Gong, Haikun Bao
出典IJC Heart & Vasculature
領域心房細動(AF)、冠動脈疾患(CAD)

Int J Cardiol Heart Vasc. 2023 Nov 2:49:101285. doi: 10.1016/j.ijcha.2023.101285
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10651495/

背景

CADを有するAF患者の脳卒中予防は複雑である。われわれは、CADを有する日本人AF患者において、ワルファリン、ダビガトラン、リバーロキサバンの投与を開始した際の大出血リスクを比較した。

方法

本研究では、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)であるダビガトランまたはリバーロキサバン、あるいはワルファリンを新規に処方され、MDVの病院ベースの臨床データベースに2011年4月18日から2020年12月31日までに登録されたCADを有する成人のAF患者を対象とした。主要アウトカムは大出血、副次アウトカムは脳卒中、全身性塞栓症、心筋梗塞、全死亡、大出血、大消化管出血、脳内出血の複合とした。逆確率重み付けを用いたCox比例ハザードモデルを使用し、95%CI付きのハザード比(HR)を2段階のアプローチで推定した。まずワルファリンと各NOAC間で比較し、サンプルサイズが条件を満たす場合にはNOAC間でも推定を行った。

結果

ダビガトラン群6,712例、リバーロキサバン群20,329例、ワルファリン群12,316例だった。大出血リスクはNOAC群でワルファリン群より低かった(ダビガトラン:HR 0.50, 95%CI:0.40-0.62、リバーロキサバンHR 0.78, 95 % CI: 0.69-0.90)。さらに、リバーロキサバンと比較してダビガトランのほうがリスクは低かった(HR 0.64, 95%CI:0.51-0.79)。リスクを考慮したうえでの総合的な有用性はいずれのNOACもワルファリンより優れていた(ダビガトラン:HR 0.78, 95%CI:0.71-0.85、リバーロキサバン:HR 0.83, 95%CI:0.78-0.88)。

結論

実臨床においてCADを合併している日本人AF患者では、NOACはワルファリンよりも良好な臨床転帰と関連していた。また、ダビガトランによる治療はリバーロキサバンよりも大出血リスクが低いことが示された。


下寺 稔

ウェルディーコンサルティング 代表 日本薬剤疫学会 認定薬剤疫学家

MSD株式会社にて、安全対策業務、使用成績調査、製造販売後データベース調査、及び疫学関連業務を担当した。2021年にリアルワールドデータコンサルタントとして事業を開始し、安全性監視計画及び、製造販売後データベース調査を中心とするリアルワールドデータに関するコンサルティングを行っている。

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