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乾癬患者数推移と薬剤クラス別処方実態:生物学的製剤に次ぐ内服選択肢、TYK2阻害薬・JAK1阻害薬の伸長に着目

 乾癬は、皮膚の慢性的な炎症により、厚い鱗屑を伴う紅斑が生じる免疫介在性の疾患である。尋常性乾癬が大半を占めるほか、手のひらや足底に膿疱を生じる掌蹠膿疱症、関節に炎症が及ぶ乾癬性関節炎(関節症性乾癬)、全身性の膿疱・紅皮症を伴う重症病型など、多様な病型が存在する。国内有病率は欧米に比べ低いとされる一方、QOL障害の程度はがんや糖尿病に匹敵するとの報告もあり、外用療法を起点に光線療法・内服療法・生物学的製剤へと段階的に治療を強化する体系がとられている。近年は生物学的製剤の選択肢拡大に加え、関節症状および皮膚病型に適応を持つTYK2阻害薬、関節症状に適応を持つJAK1阻害薬といった新たな内服の全身療法が登場し、皮膚症状に対する治療目標もPASI90/100*¹やDLQI寛解*²へシフトしつつある。

 10月29日は、国際乾癬患者会連盟(IFPA)が制定した「世界乾癬デー(World Psoriasis Day)」にあたり、世界各地で乾癬の疾患啓発がなされる時期である。そこで今回は乾癬を取り上げ、患者数の推移と薬剤クラス別の処方実態を、MDV analyzerを用いて分析した。

*¹PASI:皮疹の面積と重症度を数値化する評価指標で、PASI90/100はベースラインから90%/100%改善したことを示す。
*²DLQI:皮膚疾患が患者の生活の質に与える影響を評価する指標で、寛解はスコア0~1点を指す。

1.患者数分析-主要病型別構成比

対象期間:2023年1月~2025年12月
対象施設:MDV保有データのうち、対象期間のデータが揃っている施設

*¹構成比は尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・関節症性乾癬の合計に占める割合を示す
*²指数(2025年、2023年=100)は表中の構成比の指数ではなく、実患者数(延べ)の指数である

対象期間:2023年1月~2025年12月(四半期)

推移:

 尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・関節症性乾癬の構成比は、2023年の72.7%、15.6%、11.7%に対し、2025年は71.8%、15.2%、13.0%となった。2023年を100とした年次指数では関節症性乾癬が111.8と増加した一方、尋常性乾癬は99.4、掌蹠膿疱症は98.2とほぼ横ばいで推移した。2023年1-3月期を100とした四半期指数で見ても、関節症性乾癬は114.2まで総じて上昇しており、他の2病型(98.4、97.2)と対照的な推移を示している。

見解:

 尋常性乾癬・掌蹠膿疱症の患者数がほぼ横ばいで推移する一方、関節症性乾癬は増加傾向が続いている。皮膚症状に加え関節症状を伴う患者の把握・評価の重要性が、実データの上にも表れている可能性がある。

2-1. 薬剤クラス別処方構成比-全体患者

対象期間:2023年1月~2025年12月
対象患者:乾癬(L40)と診断され、対象薬剤区分のいずれかの処方が確認された患者(延べ、月別実患者数の年間合計)

*¹指数(2025年、2023年=100)は表中の構成比の指数ではなく、実患者数(延べ)の指数である

対象期間:2023年1月~2025年12月(四半期)

推移:

 IL阻害薬とPDE4阻害薬が2大処方区分として全体の7割超を占め続ける一方、TYK2阻害薬は2023年の3.1%から2025年は7.1%へ、JAK1阻害薬は同4.1%から4.9%へそれぞれ拡大した。指数(2023年=100)ではTYK2阻害薬が247.4、JAK1阻害薬が130.4と内服2区分の伸びが顕著であり、TNF-α阻害薬は96.5とやや縮小した。

見解:

 生物学的製剤が処方の中心を占める構図は変わらないものの、内服の全身療法(PDE4阻害薬・JAK1阻害薬・TYK2阻害薬)の中でJAK1阻害薬・TYK2阻害薬のシェア拡大が顕著であり、通院・自己注射の負担が少ない内服選択肢へのシフトが実臨床で進んでいる可能性が示唆される。

2-2. 薬剤クラス別処方構成比-新規治療開始患者(前180日無治療)

対象期間:2023年1月~2025年12月
対象患者:前180日間に対象薬剤の処方がない状態から新たに治療を開始した患者(新規治療開始患者、延べ)

*¹指数(2025年、2023年=100)は表中の構成比の指数ではなく、実患者数(延べ)の指数である

対象期間:2023年1月~2025年12月(四半期)

推移:

 新規治療開始患者ではPDE4阻害薬が一貫して過半数を占め、2023年の50.1%から2025年は56.5%まで拡大した。一方、IL阻害薬は同27.3%から21.8%へ縮小した。TYK2阻害薬は2024年に11.7%まで上昇した後、2025年は7.9%とやや低下した。

見解:

 新規治療開始患者における薬剤選択は、PDE4阻害薬とIL阻害薬が上位2区分を占める構図が続く一方、TNF-α阻害薬・JAK1阻害薬・TYK2阻害薬は四半期ごとに増減を繰り返している。TYK2阻害薬の処方構成比は2024年に増加した後、2025年は減少しており、新規導入における一時的な拡大の反動が示唆される。

3. TYK2阻害薬(デュークラバシチニブ)の使用動向

対象期間:2023年1月~2025年12月
対象患者:デュークラバシチニブの処方が確認された乾癬患者

*¹指数(2025年、2023年=100)は表中の構成比の指数ではなく、実患者数(延べ)の指数である

対象期間:2023年1月~2025年12月(四半期)

推移:

 2022年11月に発売されたデュークラバシチニブは、全体患者に占める割合が2023年の3.1%から2025年には7.1%へ拡大した。四半期でみると2023年1-3月期の1.2%から右肩上がりに拡大し、2025年後半は7%前後で推移している。新規治療開始患者に占める割合は2024年に11.7%まで上昇した後2025年は7.9%に低下しており、新規治療開始患者数(延べ)自体も2024年をピークに2025年は減少している。

見解:

 世界初のTYK2阻害内服薬として、既存治療で効果不十分な患者の内服選択肢の一つとして定着しつつあるが、新規導入における延べ患者数は2024年をピークに2025年は減少に転じており、新規導入のペースは鈍化傾向にある。一方、全体患者に占める割合は2025年時点で7%台の水準を維持している。今後は絶対数・シェア双方の推移を継続的に注視したい。

※本記事は2026年10月2日付で公開されたものです。

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