医薬品安全性監視で広がる医療情報データベース活用:前編専門家の視点 -RWDの現場から-
2026.04.20
2026.04.16
はじめに
2023年6月9日付の事務連絡「医薬品安全性監視における医療情報データベースの活用とその事例」は、医療情報データベースの活用が、再審査や再評価のための製造販売後調査に限られるものではなく、製造販売後の安全性監視全体の中で幅広く活用できることを整理した文書です。背景には、GPSP省令改正により製造販売後データベース調査(DB調査)が制度上位置づけられた一方で、それ以外の目的でもデータベースを使えることを、あらためて明確にする必要がありました。この事務連絡は、こうした活用をさらに促進するために、活用目的、一般的な留意事項、そして参考事例を整理したものです。
なぜ今、データベース活用なのか
事務連絡では、医療情報データベースを使う利点として、日常診療で集積された情報を二次利用できること、国内の実臨床を反映した評価につなげやすいこと、過去データを使って販売開始前後や安全対策措置の前後を比較できること、そして必要なデータが既に集積されていれば、時間・費用・人的資源の面で効率的に検討できることが示されています。一方で、レセプト、DPC、電子カルテ、疾患登録など、データベースごとに特徴と限界が異なるため、目的に応じた選択と計画が必要であることも強調されています。
事務連絡が示した3つの活用目的
事務連絡では、医療情報データベースを用いた検討を大きく3つに整理しています。1つ目が「使用実態に関する検討」、2つ目が「安全性シグナルに関する検討」、3つ目が「リスク最小化活動に関する検討」です。重要なのは、データベース活用が検証を目的としたものだけでなく、使用実態の確認や、リサーチ・クエスチョンを作成・明確化するための探索的な目的にも使えると明記されている点です。つまり、データベースは“厳密な検証のためだけの道具”ではなく、ファーマコビジランス(PV=医薬品安全性監視)業務の中で段階的に使える情報源として位置づけられています。
使用実態に関する検討は、通常の安全性監視でも活用しやすい
使用実態に関する検討とは、注目する医薬品がどのような患者に使われているか、どのような併存疾患や併用薬があるか、処方量や処方日数はどうか、あるいは重要な検査がどの程度実施されているかを把握するための検討です。さらに対象疾患の自然経過や、関心のある有害事象の背景発現率を確認することも、使用実態に関する検討の範囲に含まれます。事務連絡では、こうした検討は多くが探索的な目的で実施され、後続の検証的な検討を計画するための基礎情報として有用だと整理されています。
ここで大切なのは、このような使用実態の確認は、必ずしもDB調査として実施する必要はないという点です。事務連絡の適用範囲は、GPSP省令に定められたDB調査だけでなく、製造販売業者が自主的に実施する検討も含むと明記されています。また、通常または追加の安全性監視活動の選択、あるいはGPSP省令への適用は個別判断であり、この事務連絡自体が一律に決めるものではないとも記載されています。したがって、使用実態に関する検討は、PV部門が通常の安全性監視活動の一環として進めやすい領域と理解してよいでしょう。

安全性シグナルに関する検討は、調査としての位置づけを意識したい
もどる
© Medical Data Vision Co., Ltd. All Rights Reserved.



