医療情報データベースの信頼性確保に求められる新たな視点専門家の視点 -RWDの現場から-
-2026年3月「リアルワールドデータ(RWD)信頼性Q&A」一部改訂のポイント-
1.背景:RWD信頼性Q&Aが一部改訂
厚生労働省は2026年3月30日、「レジストリ又は医療情報データベースのデータを医薬品の承認申請、再審査等申請に利用する場合の信頼性担保に係る留意点に関する質疑応答集(Q&A)」を一部改訂しました。
医療情報データベースを利用した製造販売後データベース調査の信頼性については、2018年2月に発出された「医薬品の製造販売後データベース調査における信頼性担保に関する留意点について」で、基本的な考え方が示されています。
また、レジストリについては、2021年3月の「レジストリデータを承認申請等に利用する場合の信頼性担保のための留意点について」で、承認申請等に利用する際の留意事項が整理されました。これらの通知を実務に適用する際の具体的な考え方を、Q&A形式で示したものが、2022年9月に発出された事務連絡です。今回の事務連絡は、このQ&Aを一部改訂したものです。
改訂には、2023年度から実施されたリアルワールドデータ活用促進事業や、PMDAにおけるレジストリ・医療情報データベースの信頼性に関する相談事例等から得られた知見が反映されています。今回新設されたQ&Aは、レジストリと医療情報データベースに共通するQ6、レジストリに関するQ15およびQ19~Q22、製造販売後データベース調査に関するQ28の計7項目です。
本コラムでは、製造販売後データベース調査への影響という観点から、特に重要なQ6とQ28を中心に紹介します。
2.要点1:手順どおりの品質管理だけで十分か
新設されたQ6では、レジストリ保有者やデータベース事業者が規定した手順どおりに品質管理等の作業を実施していても、それだけで承認申請資料や再審査等の申請資料への利用が保証されるわけではないことが示されました。
医療情報データベースでは、その性質上、一定のエラーや欠損等が生じる可能性があります。手順書に従って作業をしても、データ取込み時の不備やデータベース内の不整合が多く認められる場合には、申請資料に利用できなくなる可能性があります。そのため、申請者等は、データベース事業者の品質管理等の記録を定期的に確認し、必要に応じて抽出予定のデータも確認しま…



