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高カリウム血症によるRAASiの投与量減少は、その後の入院治療の延長と関連しているRWD × 医学論文解説

論文紹介

 本研究は、慢性腎臓病または心不全の患者で、高カリウム血症によりレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬(RAASi)が減量・中止した場合、その後の入院負担が大きくなるかを検討した研究です。結論として、RAASiを維持した患者に比べ、減量・中止した患者では入院期間が延長し、病院外で過ごせる期間が短くなる傾向が示されました。研究デザインの特徴はスウェーデンのレジストリと日本のMDV医療データを用い、高カリウム血症後の治療変更を曝露として、傾向スコアマッチングで背景因子を調整した点です。医薬品安全性のデータベース研究としては、副作用そのものだけでなく、副作用に伴う治療変更がその後の臨床アウトカムに与える影響を評価している点が大変参考になります。安全性リスクを「薬剤中止で回避すればよい」と単純化せず、治療中断による不利益も含めて評価する設計にしています。

高カリウム血症によるRAASiの投与量減少は、その後の入院治療の延長と関連している

Maria K Svensson, Toyoaki Murohara, Eva Lesén, Matthew Arnold, Thomas Cars, Krister Järbrink, Gengshi Chen, Naru Morita, Sudhir Venkatesan, Eiichiro Kanda

題名Hyperkalaemia-related reduction of RAASi treatment associates with more subsequent inpatient care
著者Maria K Svensson, Toyoaki Murohara, Eva Lesén, Matthew Arnold, Thomas Cars, Krister Järbrink, Gengshi Chen, Naru Morita, Sudhir Venkatesan, Eiichiro Kanda
出典Nephrology Dialysis Transportantation
領域高カリウム血症

PMID: 38253386 PMCID: PMC11334062 DOI: 10.1093/ndt/gfae016

背景

 高カリウム血症は、慢性腎臓病(CKD)および/または心不全(HF)の患者において、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬(RAASi)によるガイドラインに沿った最適な治療を継続する上での障壁となっている。本研究では、スウェーデンおよび日本のCKDおよび/またはHF患者において、高カリウム血症に関連するRAASiの減量・中止と入院日数との関連性について報告する。

方法

 医療レジストリおよび病院の診療記録を用いて、RAASiの投与中に、指標となる高カリウム血症エピソードを経験したCKDおよび/またはHF患者を特定した。患者は、指標日以降にRAASiを維持した群と減量した群に分類した。ベースライン特性について群間のバランスを取るため、傾向スコアマッチング(1:1)を適用した。指標日前後の6ヶ月間における患者年当たりの全てのCKDおよびHF関連の入院日数の変化、ならびに指標日後の6ヶ月間の生存かつ入院していない日数(DAOH)について記述した。

結果

 全体として、スウェーデンから20,824人、日本から7,789人の患者が対象となり、そのうち42%(スウェーデン)および38%(日本)が、指標となる高カリウム血症エピソード後にRAASiを減量した。指標日後の6ヶ月間において、RAASiを減量した患者では、全原因による入院日数が、スウェーデンでは1人年あたり18.2日[95%信頼区間(CI)17.0-19.2]、日本では1人年あたり17.9日(95% CI 17.4-18.5)増加した。これに対し、RAASiを維持した患者では、それぞれ1人年あたり9.4日 (95% CI 8.6-10.4)および8.5日(95% CI 8.0-9.0)であった。RAASi を減量した患者における平均DAOHは、スウェーデンで 121.5 [標準偏差 (SD) 75.0]、日本で 141.7 (SD 54.5) であったのに対し、RAASi が維持された患者では、それぞれ 154.0 (SD 51.3) および 157.5 (SD 31.6) であった。

結論

 高カリウム血症のエピソード後にRAASiを減量した患者は、RAASiが維持された患者と比較して、入院日数が長く、DAOHが短かった。


下寺 稔

ウェルディーコンサルティング代表 日本薬剤疫学会 認定薬剤疫学家

MSD株式会社にて、安全対策業務、使用成績調査、製造販売後データベース(DB)調査、および疫学関連業務を担当した。2021年にリアルワールドデータコンサルタントとして事業を開始し、安全性監視計画および製造販売後DB調査を中心とするリアルワールドデータに関するコンサルティングをしている。

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